ZIPANG-4 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その22)小野小町ゆかりの地に建つ小町堂と奪衣婆の石像・・・【寄稿文】廣谷知行

菅首相の出身地、秋田県湯沢市にある小町堂


秋田県の小町伝説

先般、第99代目の首相となる、菅首相が誕生しました。その菅首相の出身地は秋田県湯沢市ということで、地元は大いに沸いています。

道の駅「おがち小町の郷」にある奪衣婆像

この湯沢市にある小野地区は、小野小町ゆかりの地であり、小町が生まれた場所とされ、さらに晩年帰ってきて生涯を閉じたところと伝えられています。同市旧雄勝町には立派な小町堂もあり、近くにある道の駅は、「おがち小町の郷」という名になっています。この、道の駅の敷地内に奪衣婆の石像が設置されており、これは、前回述べた小町百歳像の関連で置かれているものだと考えられます。

川原毛地獄手前、三途の川にかかる橋には閻魔像が鎮座

川原毛地獄

また、湯沢市には、日本三大霊地(霊山ではない)とされる、川原毛地獄があります。火山性ガスのために生物のいない、荒涼とした白い山肌はまさしく幽玄な地獄の風景を思い起こさせてくれます。ちなみに他の三大霊地は青森の恐山と富山の立山です。

川原毛地獄手前の三途の川にある十王堂

この地獄に向かう途中に三途の川とされる川があり、その川辺に湯沢市の指定文化財になっている十王像がありますが、この中に奪衣婆と考えられる像が何点かあります。これらの歴史は古く、川原毛地獄は大同2(807)年に開かれ、十王堂は長禄元(1457)年に作られたとされています。 


秋田市誓願寺

誓願寺にある姥神像

秋田市に浄土宗、正覺山誓願寺があり、ここに姥神像が祀られています。この像について、新秋田叢書、第3期第1巻に「羽陰温故誌」より“老婆”について次のように掲載されています。


 〇老婆

慈覚ノ作ト云縁起ニ曰誓願寺開山文上人大和巡リノ降霊夢二仍テ小松寺に安置シアル二乞ヒ求メ秋田ニ下タリ土崎湊幻見庵ニ其嫗像ノ写シ左ノ如シ。名勝誌曰  該寺ハ慶長十年八月佐竹義宣ノ建立スル処ニシテ僧文閭ヲ以テ開山トシ浄土宗ニシテ春日運慶ノ作阿弥陀如来ヲ本尊トシ、境内三千七百十二坪什宝ニハ慈覚大師ノ作脱衣鬼ノ像相伝ヘテ(小野小町百一歳ノ像ナト云)(後略)

と、あります。


ここから、慶長10(1605)年に誓願寺が開かれ、この寺に慈覚の作品とされる姥像(奪衣婆像)があり、これが小野小町百一歳の像とされると伝えられています。


その像を見ると、明らかに奪衣婆か姥神像ですが、秋田の小町伝説に触発され、このような伝承となったのかと思われます。


横手市旧専光寺

旧専光寺跡地

秋田県横手市に、現在は廃寺となってしまった専光寺があり、ここに小野小町九十九歳の像が祀られていました。現在は秋田市、浄土宗釈迦堂光明寺に保管されています。


旧専光寺にあった姥神像。現在は秋田市、浄土宗釈迦堂光明寺に保管されています。

この像については、秋田在住の仏師である斉藤雅幸氏のホームページに詳しいです。このページによると、この像には胎内仏として中に大日如来像があり、新潟県の出湯温泉の姥神伝承と共通するものがあり、その姿もまさしく姥神像だと言えます。


この像が祀られている厨子には、宝永6(1709)年の文字が見られ、これ以前からこの姥神像が祀られていたことがわかります。


 これらのことから、秋田県では、古くから姥神像が小町百歳像として祀られていたと考えられます。


参考文献
「新秋田叢書」第3期 6、歴史図書社、一九七六年



続く・・・



寄稿文
廣谷知行(ひろたに ともゆき)
姥神信仰研究家



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ZIPANG-4 TOKIO 2020

2020年東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。この機会に、世界の人々にあまり知られていない日本の精神文化と国土の美しさについて再発見へのお手伝いができればと思います。 風土、四季折々の自然、衣食住文化の美、神社仏閣、祭礼、伝統芸能、風習、匠の技の美、世界遺産、日本遺産、国宝等サイトを通じて平和な国、不思議な国、ZIPANG 日本への関心がより深かまるならば、私が密かに望むところです。

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