はじめに 記事をお届けするに当たり、昨夏、関東・東北地域を直撃した、強烈な台風19号と、続く21号の記録的な豪雨で、千葉や栃木、福島など5県の34河川で浸水被害や土砂災害により亡くなられた方々を始め、多岐に亘って被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。また、このたび我が国の世界遺産である沖縄のシンボル首里城の正殿等主要部分の全焼被害が発生。やりきれぬ国民的ショックも癒えぬ中、重ねて2019年12月4日、アフガニスタン東部で長年医療と共に当地に用水路を完成させた国民的英雄、中村哲医師の暗殺事件が続きました。余りにも大き過ぎる一連の悲報に暮れた昨今です。今私達は世界平和の為に何が出来るか…?中村氏が遺した後姿から一人ひとりが何かを学び取り、その実践こそが目指した真の世界樹に繋がるものと思います。謹んで哀悼の意を捧げつつ。合掌
石見神楽
日本神話を題材に、独特の哀愁あふれる笛の音、活気溢れる太鼓囃子に合わせて、金糸銀糸を織り込んだ豪華絢爛な衣裳と表情豊かな面を身につけて舞う石見神楽は、島根県西部の石見地方に古くから伝わる伝統芸能です。
本号ご紹介の演目は「恵比須」です
恵比寿の正式なストーリーは、旅人が美保神社を訪ね、恵比須である事代主命のいわれを宮司より聞く。旅人の幻想の中で恵比須が鯛釣りをする姿を見るという、とっても風流な神楽です。
石見神楽 演目紹介
石見神楽の演目には「儀式舞」と呼ばれる神様へ祈りを捧げる舞いと、「能舞」と呼ばれる豪華な衣裳や面を付けた神や鬼が神話に沿ったストーリーを舞うものと2種類あります。
神々に捧げる演目「儀式舞」
前号でご紹介した「儀式舞」の演目のほかに、太鼓だけ並んだ演目!?もあります
「儀式舞」も様々なものがあり、複数の太鼓を奏で合わせる「神祇太鼓」では、舞い手は登場せず、奏楽のみを大きく響かせます。太鼓の数ほど、観客のお腹に「ドンっ!」と響くお囃子は、クライマックスにいくに従い、激しく、演じて手がリズムに乗り、舞いながら囃すようになります。趣深い演目の一つです。
地域の特色たくさん「創作演目」
前号でご紹介した演目のほかに、虎も登場!? 創作演目。
鬼や妖怪や狐や猿、様々な悪者の登場する石見神楽ですが、なんと「虎」が登場する創作演目も存在します。(加藤清正虎退治:石見神楽長澤社中)
能舞
前号でご紹介した演目のほかに、こんなものもあります。
能舞の中には、この他にも稲刈りや餅つきの起源となる「五穀種元」というユーモラスに農業の起源を感謝する演目もあります。万物の神々がいる日本。その様々な演目が石見神楽の中に含まれていて、何度見ても見飽きないのが、石見神楽の演目の特徴です。
石見神楽 人気16演目
その2 恵比須(えびす)
商売繁盛・豊漁の神として日本全国で知られる恵比須様の松江市美保神社でのいわれを神楽として伝えられたものであり、恵比須様の鯛釣りの様子を描いた演目です。
石見神楽 にこやかな優しい表情の恵比寿様
石見神楽 柔らかい恵比寿の舞につい引き込まれる
石見神楽 鯛をおびき寄せるため撒き餌のアメを観客に投げる
石見神楽 釣り竿に針を付け糸を束ねる所作
石見神楽 見事鯛を吊り上げ大喝采
この神楽は、出雲の国 美保神社の御祭神、恵比須様が磯辺で釣りをしている御姿を舞ったものです。 にこやかに鯛を釣る恵比須様の様子が面白おかしく、心の和む演目。
恵比須様は昔から漁業、商業の神様として崇拝されています。
舞の中でのコミカルな動きで恵比須様は子ども達にも大人気!
美保神社(みほじんじゃ)とは
三穂姫命(みほつひめのみこと)と事代主命(えびす様)の二神を祀る、
比翼大社造りの国の重要文化財
国重要文化財 美保神社本殿
『出雲国風土記』や『延喜式』にみえる古社の本殿で、二棟の前室付大社造を相の間で連結し、正面全体に階隠の庇を設けた比翼大社造の特異な形式をもつ。
この地方に分布する同形式の遺構のうち、最も規模が大きくて建立年代が古く、大社造の変形として重要な位置を占めています。
美保神社 本殿 正面図
美保神社本殿 断面図
事代主命(えびす様)の総本宮で、母神である美穂津姫命と共にお祀りしてある古大社。
本殿は文化10年吉川広家が征韓戦捷の奉賽として造営したものであり、本殿は二殿連棟の特殊な形式で美保造りまたは比翼大社造りといって、国の有形文化財に指定されています。
また、船庫には諸手船、そりこ船が展示されており、奉納鳴物数百点と共に国の重要民俗資料となっています。
御祭神は海上安全、大漁満足、五穀豊穣、商売繁盛の守り神としてその崇敬は全国的にあつい。出雲大社のみの参詣は「片参り」と昔からいわれ、出雲大社参詣の際は必ず美保神社へもお参りする習わしとなっていました。
毎年4月7日に行われる青柴垣神事は国の民俗資料に指定を受けています。 また、12月3日に行われる諸手船神事も海上神事としては全国的にもめずらしく、各地から見物客がつめかけます。
美保神社 拝殿
初ゑびす祭
ゑびす恒例の「金鯛守り」
詳細説明
拝殿は昭和初期の建築で新しいものだが、本殿は美保造り(比翼造り)といわれ、大社造りを二棟並べて装束の間でつないだ建築であります。様式的には戦国期までさかのぼることができるが、現在の建物は文化10年(1813)建立のもので、昭和56年(1981)国の重要文化財の指定を受けています。
ご祭神は、現在事代主命(ことしろぬしのみこと)、三穂姫命(みほつひめのみこと)の二神だが、『出雲国風土記』には御穂須須美命(みほすすみのみこと)だけと書かれているから、もとの祭神は御穂須須美命、一神だったのだろう。
事代主命を祀るようになったのは、『古事記』や『日本書紀』にみられる国譲りの神話によるものと考えられる。中世にはいり、事代主命は恵比寿神と習合し、漁業、海運、商売、歌舞音曲の神として福神信仰の本宮となり現在に至っています。全国に事代主命をご祭神とする神社は3385社あるが、美保神社はその総本宮であります。
当社の代表的神事として、4月7日の青柴垣神事(あおふしがきしんじ)と12月3日の諸手船神事(もろたぶねしんじ)がある。いずれも国譲りの神話に因んだもので、古代色あふれる出雲の代表的神事であります。
境内の船庫には、神事で使用する諸手船が保管されています。二本の丸太を別々にくりぬいて継ぎ合わせた(古代には一本の丸太で造った)二枚仕立のこの船は、古代くり船の系譜をひくものとして国の重要有形民俗文化財であります。
重要有形民俗文化財
「そりこ」は、中ノ海で赤貝をとるために使われていた刳り舟の一種で、1本の原木から2本の船材を割り出して接合したものであり、船体の接合にあたっては補助材を用いていないところに特色があります。
また、船神事に関連して中海のそりこ(国重要有形民俗文化財)、隠岐のともど(県有形民俗文化財)、沖縄糸満のサバニーといった舟も展示されています。
また、奉納鳴物(なりもの)の収蔵庫があり、美保神社の神様は鳴物好きという信仰により、数多く寄進されていたものを収蔵しています。笛、太鼓、琴、三味線、琵琶、月琴(げっきん)などで、年代的には戦国期から明治にわたり、そのうち846点は国の重要有形民俗文化財に指定されています。
場所のご案内
松江方面から
1.松江駅前ー約40分(一畑バス 美保関ターミナル行)ー終点:美保関ターミナル
2.美保関ターミナルにて美保関コミュニティバスに乗り換え
3.美保関ターミナルー約20分(コミュニティバス)ー美保関(美保神社)
米子方面から
1.JR米子駅ー45分(JR)ーJR境港駅
2.JR境港駅ー11分(コミュニティバス)ー宇井渡船場
3.宇井渡船場ー15分(コミュニティバス)ー美保関(美保神社)
続く・・・
鎹八咫烏記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(順不同・敬称略)
一般社団法人 大田市観光協会(大田市役所仁摩支所内)
〒699-2301 島根県大田市仁摩町仁万 562-3 電話: 0854-88-9950
一般社団法人 松江観光協会 美保関町支部
〒690-1501 島根県松江市美保関町美保関661 TEL:0852-73-9001
文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表)03(5253)4111
※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。
早速、読者からのメールが届いておりますのでご紹介いたします!
『読者の声』
いやはや、計4回に分けたご紹介とのことで石見神楽についてはかなりの熱量・分量だったかと存じます。人気演目16種類につきまして、動画を拝見させて頂きましたが大蛇の迫力は他の演目をも凌駕しますね。
どうやら石見神楽も北米・欧州・南米・中東といった全世界で定期的に公演を行っているようで、ここまで勢いのある伝統芸能は他には無いのでは?とも感じます。
私も機会があれば一度でも良いので是非生で見てみたいですね。
『読者の声』
「出雲大社のみの参詣は『片参り』と昔からいわれ、出雲大社参詣の際は必ず美保神社へもお参りする習わしとなっていました。」と本文に記載されており、初めて知りました(お恥ずかしい限りです…。)
出雲大社は全国区で名前が轟いており何度か訪ね、その都度石見銀山など拝見したり致しましたが、次回の旅はまだ伺ったことが無いので、美保神社参拝と石見神楽「恵比寿」様を観劇したいと存じます・・・
因みに関西では、伊勢神宮と多賀大社の関係をこんな風に言っております「お伊勢参るなら お多賀を参れ お伊勢お多賀の 子でござる」・・・
『読者の声』
恵比須様の笑顔と鯛を釣るストーリーには 不思議な魅力があるような気がします。 雪にうもれた美保神社の拝殿の風景は装飾した舞台のようです。 恵比須様の演目を見てみたくなります。
『読者の声』
神楽と言うとどうしても16種類の出し物が人気だと思いますが、地元ならではの創作演目も見逃せませんね。見るほうも演じるほうも飽きないように(失礼)、昔話や風習をうまく取り入れた独自の演目に期待したいですね~。それにしても美保神社の本殿は立派な造りです。なか迄拝見したいですね!また、参道を歩くのも楽しみのひとつです。
0コメント