株式会社日建設計(本社:東京都千代田区)は、夏の本格的な気温上昇を目前にした6月2日、東京都千代田区飯田橋のi-Garden Air(アイガーデンエア)に設置したエコ・クールスポット装置『COOL TREE LITE(クール・ツリー・ライト)』の試験運転を開始しました。
COOL TREEは、環境性とデザイン性を兼ね備えたクールスポットを屋外パブリック空間に創出し、真夏の屋外を快適に過ごせる街づくりに貢献することを目的として、2018年、株式会社日建設計、銘建工業株式会社(本社:岡山県真庭市)、株式会社光栄(本社:大阪府大阪市)、株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市)の4社により開発されました。
そして2019年、特にヒートアイランド現象が進行する都会の街並みに、より適合するサイズと形状を考慮し、約4m四方で正方形のLITE版をデザイン設置。
太陽光発電による完全ゼロエネルギーのクーリングシステムと、国産間伐材を活用することでCO2の排出を抑制するCOOL TREEの展開を通じて、日建設計は、快適でなおかつ環境にやさしい街づくりや省エネルギー技術の普及を推進しています。
【COOL TREE LITEの特長】
高さ:約2.9m 大きさ:(屋根)4.0m×4.0m (土台)4.8m×4.8m 総重量:約3,500kg
① ミスト・日除け・接冷による涼感
●ミストが気化熱によって空気を冷やすとともに、視覚的な涼感を演出します。
●開放感のあるヒノキ材の格子日除けが、木陰のように直射日光を遮ります。
●ペルチェ効果を利用した「クールベンチ」に座ることで体をクールダウンさせます。
※1 ペルチェ効果:異なる金属を接合し電圧をかけ、電流を流すと、接合点で熱の吸収・放出が起こる効果
② 太陽光発電とIoT制御による都市エネルギー消費ゼロの自立型システム
格子日除けの上には太陽光パネルを設置しており、クールベンチやミストなど涼感を生み出すデバイスの動力は全て太陽光発電によるものです。太陽光パネルからの電力は、蓄電池にいったん蓄えられ、デバイスの稼働に使われます。
効率的な省電力の工夫によって都市エネルギーインフラから完全に自立したゼロエナジー・システムを実現しました。
③ 3R(リデュース・リユース・リサイクル)を採用したエコロジカルなシステム
●リデュース 一般的に流通する75mm角のひのき間伐材を活用し、また土台には、厚さ90mmの木材の直交集成板CLT(Cross Laminated Timber)を積み重ねています。 間伐材活用によって、建築材料生産エネルギーを削減できます。
●リユース 各部材をボルトのみで接合することにより、組み立て・解体を繰り返すことが可能です。
●リサイクル 木材はバイオマス発電の材料、鉄はスクラップを電炉材の材料に循環利用できます。
【アイガーデンエアでの設置について】
●設置期間
2020年3月2日~9月(予定)
●クールデバイス(ミスト及びクールベンチ)運転期間 2020年6月2日~9月(予定)
●クールデバイスはタイマー設定されており、10:00~16:00を標準として試験運転をスタートいたします。
●夜間は23:00ごろまで、ライトアップを行います。
●スマートフォンの充電などに利用できるコンセント差込口を2か所設置しています。
※天候や運用状況により適宜変更の可能性があります。
※天候などの原因で蓄電池の残量がなくなると、一時停止します。
●設置場所
アイガーデンエア 内 フロントフォーラム
東京都千代田区飯田橋3丁目10番
最寄り駅:飯田橋駅、水道橋駅、九段下駅 よりそれぞれ徒歩約10分
【クールツリーオリジナル版の設置実績】
直径7.7mの正六角形をしたオリジナル版は、柏の葉スマートシティ(千葉県、2018年7月~2019年9月)や名古屋港ワイルドフラワーガーデンブルーボネット(名古屋市、2019年7月~)に設置されました。
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ー新型コロナ菌肺炎のパンデミックに寄せてー
昨年、我国は皇室の御代替わりで年号も改まり、昨秋の奥ゆかしき即位式には深い歴史の重みに国民は改めて誇りをもち、2020オリンピック主催国日本は明るい兆しを求めて令和2年を迎えたばかりでした。その余韻も覚めやらぬ1月半ば、世相はいきなり急転直下…
目下、全世界が新型コロナ肺炎パンデミックに巻き込まれております。未だ対処方法も終息期も見出だせない状況下、各国で拡散し猛威を奮っております。
今、私達に出来ることはただ一つ。それはこの目に見えない新型コロナ菌に出逢わない事だそうです。その方法とは… "三密 " つまり密集、密閉、密接 を避ける事ですね。
当面は一人一人がその "三密 " を守りましょう。皆が心を合わせれば、コロナ菌は行き場を見失うのです。
どうか、世界各国が足並みを揃え、協力しあって一日も早く平和な日々が訪れますように。
編集局より
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”Withの精神”をもって~日本のデザインを考える~
日建設計
新型コロナウイルスにより もたらされる新しい社会に向けて~日本的思想「自然との共生」をデザインに生かす~
亀井 忠夫氏 日建設計 代表取締役社長
プロフィール
1981年、ペンシルバニア大学・早稲田大学修士課程修了後、日建設計に入社。建築家として、大規模プロジェクトを中心に担当してきた。これまで手掛けてきたプロジェクトは、国内外で、多くの賞を受賞。一級建築士、日本建築学会会員。
コロナ禍の社会を維持するため、世界中の医療従事者の方々が懸命に闘ってこられました。次は、私たち都市・建築の設計に携わる者が、今回の経験をふまえ、より安全で持続可能な都市環境を提案していくことが使命であると考えます。行動制限下に考えたことをお話します。
日本には、古来より自然と対峙するのではなく共生してきた歴史と伝統があり、生活や文化、そして建築や都市にもその考え方が息づいています。今回の新型コロナウイルスも自然の一部と捉え、”Withの精神”をもって共生していく道筋を探究していくことが第一歩ではないでしょうか。
高密度の集中からバランスした分散へ
都市機能を高密度に集約することは効率的で、様々な交流によるイノベーションの源泉となると考えられています。しかし、過度の集中はウイルス等により人とモノの移動が制限された時、事業継続の支障となることがあると知りました。これからはリモート環境をきちんと整備したうえで、業務・居住・商業ゾーンなどを適度な密度で分散させるなどの整備が必要でしょう。平常時は就業や生活する場所の選択肢が増え、災害時は最低限の機能確保につながります。都心と郊外との間の中間拠点の役割も見直され、発達した鉄道ネットワークも多様なモビリティサービスとともに活用されると考えます。
しかし、変化はそれだけではありません。これからは、空間だけでなく、仮想現実や時間の概念も取り入れた、まったく新しい都市や建築、そして場づくりが求められる社会が訪れるでしょう。その時に向けて、今私たちは、チャレンジを始めています。
フレキシビリティのある建築空間への対応
建物や部屋はそれぞれの「用途」に応じて法律で基準や規制が定められていますが、今回のウイルス問題では、病院における一般病床を感染症対応用に転用し、ホテルや住宅を軽症者の待機室に使っています。在宅勤務のリモートワークでは多くの住宅がオフィスとなりました。こうした経験から、これからの空間づくりは、過剰投資にならず、遵法性にも留意しながら平常時と災害時の柔軟な使い分けに備えていくことが社会の強靭さにもつながるのではないかと考えます。
また、それは、使う人に合わせ、襖の開閉一つで部屋の大きさを変えたり、日常的に茶の間を寝室やダイニングなど複数用途にも対応してきた、日本の簡素でフレキシビリティの高い住文化を連想させます。
呼吸する建築と都市 ~closeからopenへ
日本建築には縁側などの半屋外空間があり、庇や建具によって日射などを制御しつつ、窓を開け放てば心地よい風が通ります。町家の光庭も狭いながらも自然との接点となる空間です。ウイルスの感染症対策では換気の実施が重点項目のひとつに指摘されていますが、こうした日本建築の考え方が、今ある建築や都市に、新たな形で応用されれば、感染症対策だけではなく、省エネルギーにも役立ちます。
複合災害を想定したBCPとレジリエンス
強靭な都市を創るという意味で、忘れてはならないのが災害対応です。日本はこれまで様々な自然災害を経験してきました。地震、台風、集中豪雨による河川の氾濫、停電などがパンデミックと同時に発生した時の対応として、平常時よりシミュレーションに基づく防災計画・都市づくりを進めていくことの重要性を実感しています。
私たちの志を表現した「EXPERIENCE, INTEGRATED」には、人々の想いに応え、社会環境デザインの先端を拓いていく決意が込められています。これから私たちは、新コロナウイルスをきっかけに変化する新しい社会へのビジョンを発信していく予定です。皆様とともに、次なる社会を築いていくためのアクションへとつなげていけたらと考えております。
参考
和風・(和洋折衷)建築のご紹介。下記のリンク記事にてご覧ください。
ZIPANG TOKIO 2020「越後 【庭屋一如】 大正ロマン 国指定名勝『旧齋藤家別邸庭園』開港150年 (その壱)」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3619290/
ZIPANG TOKIO 2020「庭屋一如 旧齋藤家別邸 国指定名勝の建物・庭園の見どころと北方文化博物館本館、近隣のご案内(その弐)」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3635570/
ZIPANG-2 TOKIO 2020 ~ 郷土報恩の志~ (その1)「旧相馬邸(函館市)文化庁重要伝統的建造物群保存地区認定」
https://tokyo2020-2.themedia.jp/posts/4736671
ZIPANG-2 TOKIO 2020 ~郷土報恩の志~ (その2)「函館は異文化交流が重層した街 ・ 港がもたらした広い視野と融合の美学」
https://tokyo2020-2.themedia.jp/posts/4743028/
※函館の旧相馬家住宅は、平成30(2018)年、国の重要文化財に指定されました。
ZIPANG-3 TOKIO 2020「日本の町 『奧会津』 奥の地 三島町の四季に魅了され・・・桐と霧の里へ」
https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/6199543/
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(敬称略)
株式会社 日建設計 東京都千代田区飯田橋2-18-3 日建設計東京ビル 電話番号03-5226-3030
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