ZIPANG-4 TOKIO 2020 黄金の国ジパング『ケセン』(その3)~ 気仙三十三観音巡りと伝統文化 ~

黄金の国ケセンをめぐる伝統文化

陸前高田市 鹿踊り 名前の由来は仙台藩公からの賛辞

行山流山口派柿内沢鹿踊とは

気仙には、3流派ある鹿踊りのうち、行山流と金津流の2派が伝わります。中でも多いのが、伊達氏ゆかりの行山流です。「山口派」は東磐井郡大原の山口喜左エ門を師匠とします。

行山流は、藩公にこの踊りを披露した時、「仰山なり」と賛辞を賜ったことが名称の由来と伝えられます。「行山」以外に、「仰山」「迎山」「行参」などの表記が見られます。


南部神楽の系統で明治時代に創設 大股神楽

大股神楽とは

大股神楽(おおまたかぐら)は、南部神楽系統で、明治33年(1900年)、旧江刺市餅田地区の伊平という神楽の師匠の指導で創設されました。神楽舞の基本に、鳥舞、三番叟、八幡舞があり、中でも八幡舞とは、八幡の由来を説明し、四方に向かって矢を射て、悪霊を払うものです。住田町の郷土芸能は、多くが藩政時代から伝承され、歌や踊りの中には変わることのない民衆の心が表現されています。


ケセン旧家の守り神 おしらさま

おしらさまとは

おしらさまは気仙地方の旧家に家の守り神として多く祀られる人形です。「おっしゃさま」とも呼ばれます。長さ30cmほどの棒の先に女性と馬の顔を刻んだ二つで一組が一般的です。材料は桑の木で、古くから養蚕の神とされました。

縁日や年越しの日には「オセズ」「センタク」と称して、近所の人が集まりおしらさまを祀り、遊ばせ、ご利益を願う風習があります。自分の患部と同じところを人形でさすると痛みが取れるというおまじないもあります。一説には「オヒナサマ」が訛ったもので、無病息災を願う流し雛とルーツが同じとも言います。


山車と山車が激突する勇壮な「動く七夕」は、8月7日に行われています

気仙町けんか七夕祭りとは

気仙町(けせんまち)けんか七夕祭りは、陸前高田市気仙町字町に伝わります。
寛永年間(1624年〜1643年)、今泉の八日町と荒町の両地区が発祥の地と言われます。

山車型式の「動く七夕」は全国にも例がなく、さらに山車と山車を激突させる「けんか七夕」の奇習で知られます。勇壮な太鼓の起源は明らかではありませんが、中世以前の古流兵法の陣太鼓の打法ではないかとされます。昭和53年(1978年)、市の無形文化財に指定。


黄金の国ジパング『ケセン』

気仙(けせん)は、伝統文化がいまも豊かに息づく土地です。
歴史的には「黄金の国ジパング」の名の元となった金の産出地としても知られ、 信仰、祭礼、踊り、建築物や美術工芸などを今に伝えています。

柳田國男が絶賛した地としても知られ、宮沢賢治の創作の源の一つでもありました。 現在は、大船渡市、陸前高田市、住田町の2市1町に分かれていますが、 文化財の宝庫として、今もケセンは「黄金の国」と呼ぶにふさわしいエリアです。


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いま世界的に新型コロナパンデミックの真っ只中ですが、日本ではこれに追討ちをかけるように、7月初旬には異常気象による局地的な集中豪雨現象が各地に発生しております。気象庁はこれを称して、「令和2年集中豪雨」と命名しました。

特に熊本県南部、川辺川・球磨川流域を中心とした地区では急激な増水濁流で81名の方々が死亡、行方不明となられる一方、岐阜県下では広範囲に亘る崖崩れや土砂災害、幹線道路の崩落で交通網の遮断。飛騨川流域を中心とする地域では家屋の損壊、浸水等の被害がありました。

ここに謹んで被災された方々への御見舞と共に尊き命を犠牲にされた方々へ深く哀悼の意を捧げます。 残された私達はその戴いたメッセージを正しく新しい未来へと生かす事を誓い祈念するものであります。

編集局記

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気仙三十三観音とは

概要

気仙地域の観音霊場巡りのために選ばれた、2市1町にまたがる33の寺院。気仙町の泉増字を一番札所とし、高田町の浄土寺まで三十三番札所があります。現在の市町別では、大船渡市に6カ所、陸前高田市に21カ所、住田町に6箇所の札所があります。

由来

気仙三十三観音は、江戸中期、享保3年(1718年)春から、高田村の検断役(大庄屋)・佐々木三郎左衛門知則が父母の追悼供養のために選定したと、『気仙風土草』に記されています。


羽縄観音堂

気仙三十三観音 九番札所

中央はご本尊 聖観音菩薩。両脇が古くからある観音像で、台座の部分に特徴があります。


羽縄観音堂とは

羽縄は「はなわ」と読む。管理者は松野保子さん。屋号も「羽縄」で現在30代目になります。一間四方の観音堂で、三体の観音像と、一回り小さな仏像2体が祀られています。
「鮭の大助」の伝説が残されています。

岩手県陸前高田市竹駒町字滝の里


雪沢山 正覚寺

気仙三十三観音 十番札所

ご本尊 聖観音菩薩

雪沢山 正覚寺とは

往古に平泉の黄金文化を支えた雪沢金山(矢作町)が盛んだった時代、大勢の堀子たちのため浄土寺の支院として建立された。もともとは、天台宗の寺院であったという。現在の本堂は嘉永5年(1852年)に再建されたもので、築150年余り。

本堂には、阿弥陀如来三尊芳光のお姿があり、内陣左手には総金箔仕上げの、高さ55cmの聖観音菩薩像が安置されています。

岩手県陸前高田市竹駒町字中の沢24


千手山 常光寺

気仙三十三観音 十一番札所

ご本尊は千手観音菩薩(秘仏)

千手山 常光寺とは

ご本尊は秘仏の千手観音菩薩。建仁元年(1201年)創建とされますが、常光寺の歴史は古く、『陸前高田史』に「承和2年(835年)延暦寺の僧が派遣され天台密教を布教したとの伝承があり、あるいはその根拠となった寺院ではなかったか」とあります。

現在の観音堂は、火災後の大正7年(1918年)に再建されたものといいます。
横田小学校後ろの小道を入った高台にあります。

岩手県陸前高田市横田町字志田実4-3


平栗福寿庵

気仙三十三観音 十二番札所

ご本尊は聖観音菩薩(秘仏)

平栗福寿庵とは

通称「福寿観音」または「平栗観音」とも呼ばれます。屋号は「平栗の大屋」。スレート葺きの2間四方のお堂。管理者の家の伝承によると、先祖が昔、戦に敗れてこの地にたどり着き、観音堂を建てて祀ったとされています。

ご本尊は秘仏で聖観音菩薩。菩薩は座像で台座と光背も含めると、50~60㎝ほどの大きさで、木仏「気仙三十六騎 菅原甚六」のノボリもあります。管理者は菅野速男さん。

秘仏は17年に一度の中開帳にお披露目されます。

岩手県陸前高田市横田町字舞出


向堂観音堂

気仙三十三観音 十三番札所

ご本尊は十一面観音座像

向堂観音堂とは

古記に「塔ノ観音」とある御堂で、ここに本尊の十一面観音座像が安置されている。お堂はもともと別当、千田家の持仏像で慶長7年(1602年)に再建された。現在別当は不在で、地元講中が建物を管理している。古くから安産祈願に遠来の参拝者も多い。

塔ノ観音は安産の守護仏として、享保のはじめに、十三番札所に定められて以来、安産の守護仏として信仰され現在に至っています。

岩手県気仙郡住田町世田米字川向


瑞川山 満蔵寺

気仙三十三観音 十四番札所

ご本尊 聖観音菩薩

瑞川山 満蔵寺とは

石門からの急な石段。石段の上の総門の仁王像。総門をくぐると目の前にそびえる壮大な二階建ての山門(楼門)など見どころは多くあります。山門は、大船渡市日頃市町の長安寺山門と並び、気仙大工の傑作の一つです。

ご本尊の聖観音菩薩の他、総金箔仕上げの三十三観音もあります。「心字数図」という絵馬は、「心に決めたことはテコでも動かぬ」という意味の珍しいものです。

岩手県気仙郡住田町世田米字本町2-9


中清水観音

気仙三十三観音 十五番札所

ご本尊は如意輪観音菩薩 今は長桂寺に永久預けとなっている(水月観音)

中清水観音とは

ご本尊は如意輪観音菩薩。中清水現当主の吉田孝守さんによると、「昭和8年(1933年)に長桂寺の本堂を新築した時、ご本尊の前仏がないというので、中清水観音を寺に寄贈した」とのこと。

長桂寺の阿部住職も「それ以来、寺に“永久預け”となっており、十六番札所(聖観音菩薩)との2つの観音像が寺に安置されている」と話しています。

長桂寺は入り口にそびえる大杉が目印です。

岩手県気仙郡住田町下有住高瀬145


御月山 長桂寺

気仙三十三観音 十六番札所

ご本尊は釈迦如来像

御月山 長桂寺とは

内陣正面に、ご本尊の釈迦如来像をはさんで、向かって左側が聖観音、右側に中清水観音(十五番札所)が祀られています。1カ所に2つの観音さま(札所)があるのは、気仙三十三観音霊場でもここしかありません。

この寺は宮城県栗原郡桶谷の竜渕寺の末寺とされ、開基は天文23年(1554年)と古く、室町時代後期に当たります。寺号の由来となっている樹齢800年とも1000年とも言われる「玉桂(たまかづら)」が、本堂の北側100mのところに豊かな枝を伸ばしています。

岩手県気仙郡住田町下有住字高瀬145


龍澤山 城玖寺

気仙三十三観音 十七番札所

ご本尊は聖観音菩薩

龍澤山 城玖寺とは

城玖寺は、曹洞宗に属しています。石段を上り山門をくぐり抜けると、正面に地蔵堂があり、中には赤い帽子のお地蔵様が安置されています。昭和39年(1964年)に、本堂や庫裡などの大改修を行っています。

永正年間の開基以来、城玖庵と号していましたが、昭和27年(1952年)に「庵」を「寺」と改め、城玖寺として現在に至っています。

岩手県気仙郡住田町上有住字恵蘇


金剛院 坂本堂

気仙三十三観音 十八番札所

ご本尊は聖観音菩薩

金剛院 坂本堂とは

坂本堂は、赤いトタンぶきで、2間半の間口に、奥行き4間という長方形の建物です。ご本尊は聖観音菩薩。気仙三十三観音の札所の中でも最も奥地にあります。

「岩屋(谷)に観音さまを置いていたが、いたずらされることがしばしばだったので、のちに持仏堂に移した」とのことです(別当・小野秀雄さん談話)。

岩手県気仙郡住田町上有住字二度成木


稲子澤観音

気仙三十三観音 十九番札所

ご本尊は聖観音菩薩像

稲子澤観音とは

「稲子澤」は、江戸時代の中ごろ伊達藩と深いかかわりを持ち、莫大な財力を築き、その名を東北に鳴り響かせた大長者の家。西国三十三観音、板東三十三観音、秩父三十四観音を加え、聖大観音をつくり、全101体を4代にわたって揃えた。

長く隆盛を極めたが、しだいに家運が傾き、明治45年(大正元年・1912 年)12月に、岩谷堂(現・奥州市)の中善・小原家に譲られることとなった。金箔もまばゆい稲子澤観音は現在、奥州市岩谷堂にある「えさし郷土文化館・奥の院」に安置されています。

岩手県大船渡市猪川町字久名畑18


館下観音堂

気仙三十三観音 二十番札所

ご本尊は聖観音菩薩像

館下観音堂とは

屋号「船原崎」(ふなわらざき)鈴木さん方にある観音堂。平成6年(1994年)に2間半(約4. 5m)四方の欅と檜づくりの立派な観音堂を自宅脇に建立し二十番札所として再スタートしました。

ガラス張りの鞘堂で、目の前に国道107号が走る。この観音堂には、2体の尊像が祀られています。高さ50㎝ほどの聖観音像は、蓮華を持ち座り、保存がよく、細かいところまで緻密に造られています。



続く・・・



参考

伊賀忍者・聖徳太子・役行者の伝説⁉伊賀の伝統文化に関する情報は
下記リンク記事をご覧ください


ZIPANG TOKIO 2020「忍術は紀元前4000年頃発祥 日本で山岳的な兵法へと発展 今、世界が注目する日本遺産(壱の巻)」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3019963


ZIPANG TOKIO 2020「日本初!伊賀忍者が活躍した城郭を巡るスタンプラリー 是非ご参加を!(弐の巻)」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3054326


ZIPANG TOKIO 2020「日本遺産 伊賀忍者の史跡 そのⅠ (参の巻)」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3058458


ZIPANG TOKIO 2020「戦国時代の陰の主役 日本遺産 伊賀忍者の史跡 そのⅡ(最終話 四の巻)」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3067975


ZIPANG TOKIO 2020「伊賀一宮 敢國神社 1300年以上前『四道将軍』から始まり 観阿弥~服部半蔵~松尾芭蕉 そして神の社は未来を開く」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/2331520/


ZIPANG TOKIO 2020「日本遺産 伊賀忍者の故郷『忍びの国伊賀上野』現在、『伊賀上野NINJAフェスタ2017』開催中!」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/2328594


ZIPANG TOKIO 2020「印と鬼・楼車 上野天神祭のダンジリ行事 『ユネスコ無形文化遺産登録』10月に忍者の里 伊賀市で開催」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3014307/



鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使



協力(順不同・敬称略)

気仙伝統文化活性化委員会
東海新報社 〒022-0002 岩手県大船渡市大船渡町鷹頭9−1 電話: 0192-27-1000

公益財団法人 岩手県観光協会
〒020-0045 盛岡市盛岡駅西通二丁目9番1号(マリオス3F) 電話:019-651-0626

文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表)03(5253)4111



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ZIPANG-4 TOKIO 2020

2020年東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。この機会に、世界の人々にあまり知られていない日本の精神文化と国土の美しさについて再発見へのお手伝いができればと思います。 風土、四季折々の自然、衣食住文化の美、神社仏閣、祭礼、伝統芸能、風習、匠の技の美、世界遺産、日本遺産、国宝等サイトを通じて平和な国、不思議な国、ZIPANG 日本への関心がより深かまるならば、私が密かに望むところです。

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