はじめに 記事をお届けするに当たり、今夏、関東・東北地域を直撃した、強烈な台風19号と、続く21号の記録的な豪雨で、千葉や栃木、福島など5県の34河川で浸水被害や土砂災害により亡くなられた方々を始め、多岐に亘って被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。また、このたび我が国の世界遺産である沖縄のシンボル首里城の正殿等主要部分の全焼被害が発生。やりきれぬ国民的ショックも癒えぬ中、重ねて2019年12月4日、アフガニスタン東部で長年医療と共に当地に用水路を完成させた国民的英雄、中村哲医師の暗殺事件が続きました。余りにも大き過ぎる一連の悲報に暮れた昨今です。今私達は世界平和の為に何が出来るか…?貴方が遺した後姿から一人ひとりが何かを学び取り、その実践こそが御恩返しに繋がるものと思います。謹んで哀悼の意を捧げつつ。合掌
「江沼神社」と 国指定重要文化財「長流亭」
船頭さんによる手漕ぎの屋形船で60分ほどの小さな舟旅に出かけてみましょう。
舟は滑るように静かに川を進みます。
ところどころ色づいた木がこんもりと茂っているのが「江沼神社」。およそ300年の歴史ある神社で、地元の人からは「天満さん」と呼ばれ親しまれています。
さらに進むと見えてくるのは国指定の重要文化財「長流亭」。
「長流亭」は大聖寺藩主の夏の休憩所だったところ。
とはいえ秋にも殿様はこの「長流亭」の窓から川に釣糸をたれたりして、色づく木々を眺めながら悠久の時を過ごしたのかもしれません。
舟から見える紅葉は、色鮮やかというより大聖寺の風情にも似た落ち着いた渋めの色あいです。
大聖寺「江沼神社の紅葉」
地球温暖化の影響か?紅葉の見頃は少しづつずれていますが、例年11月上旬~中旬位です。
大聖寺「江沼神社」
宝永元年(1704年)4月に大聖寺藩三代藩主前田利直邸内に前田家遠祖の菅原道真公の霊を祀る天満天神社を建立したのがはじめとされ、藩祖前田利治公をお祀りした松嶋神社が明治10年に江沼神社と改称、同12年天満天神社を合祀、同16年に県社に昇格しました。
境内は旧藩邸の一部で旧観を残し、注目すべき武家庭園として市の文化財に指定されています。
11月の紅葉時には多くの市民が散策に訪れます。
また正月には三社参りの風習から参拝者も多くいます。このほか、重要文化財長流亭、深田久弥文学碑、梅花庵(公均の間)、竹径館(第十四代藩主の居館)等歴史的、文化的なものが多く残っています。
国指定の重要文化財「長流亭」。屋形船から四季の景色を眺めながら当時を偲ぶ・・・
江沼神社の西北隅に位置し、旧大聖寺川の流れに江戸時代中期の四柱造りのおちついた姿を写しています。
藩主の休息所「長流亭」
代々藩主の清遊の場として使われており、設計や造園は小堀遠州の流れを受けていて、書院や茶室など隅々にまで凝らされた意匠は深い味わいがあります。宝永6年(1709)に上棟、藩邸の庭園の一隅に大聖寺川を臨むように建築された亭舎です。
当初「川端御亭」と呼ばれていたが後に利直の雅名からとって「長流亭」と称されました。
建物は、桁行5間(9.5メートル)梁間4.5間(8.4メートル)で南面に玄関を配し、東面に土庇が附く一乗寄棟造、こけらぶきです。
※見学は予約制
電話番号 0761-72-0551(江沼神社)
住所 石川県加賀市大聖寺八間道55
入場料 400円 団体30名以上350円
営業時間
9時00分~16時00分(3~10月)9時00分~15時00分(11~2月)
定休日
見学は要予約 年末年始、祭礼時は見学不可 年末年始 12月29日~1月3日
駐車場
有 乗用車10台
小型バス3、4台
E-mail enuma@beige.plala.or.jp
大聖寺(だいしょうじ)
大聖寺は、加賀百万石の支藩・大聖寺藩(初代藩主 前田利治)の城下町として栄えてきた歴史と伝統文化の息づく町です。茶道、能楽、生花等の芸事が庶民の間に浸透し、しっとりと落ち着いた雰囲気を漂わせています。江戸時代からの街並みをそのまま残し、錦城山城址の麓には、禅宗、日蓮宗などの古刹が立ち並び、藩邸跡の一部に当たる江沼神社境内にある庭園は、兼六園を模して造成されたと伝えられています。
春ならば、長流亭から望む旧大聖寺川の暗い川面に浮かぶ夜桜。
秋ならば、うっすらと雪をかぶったように咲き乱れる実性院の萩。
大聖寺「実性院」
「白萩の寺」として知られる実性院では、四季折々の花のほか、6月にはモリアオガエルの卵も見られます。
初代藩主の院号から名付けられた曹洞宗の名刹です。前田家の菩提寺でもあり、 裏山には歴代藩主の墓が並び、御霊屋(みたまや)には藩主及びその家族の位牌もあり、金箔をあしらった障子画は見事なものです。秋には土塀の前に萩が咲き誇り、「萩寺」「白萩の寺」とも呼ばれ訪れる人を魅了します。
住所 〒922-0841 石川県加賀市大聖寺下屋敷町29
電話番号 0761-72-1104(実性院)
営業時間/期間 9時00分〜16時00分
定休日 無休
料金 大人400円、高校生以下無料 団体(21名様以上)350円、障がいのある方無料(ご本人のみ。手帳の等級にかかわらず)
交通アクセス(車) 北陸自動車道加賀ICから車で約3分
交通アクセス(公共) JR大聖寺駅から徒歩約10分。
JR加賀温泉駅から周遊バスキャンバス海まわりで「山の下寺院群/九谷焼美術館」バス停下車徒歩約8分
駐車場 普通車30台大型10台
その桜や萩にどこか気品が漂うのは、大聖寺という町の奥行きが関わっているからかもしれません。
遠く「えぬの国」から始まり、一向一揆の民による「百姓の持ちたる国」を経て、
加賀藩第三代藩主・前田利常の三男利治を藩祖とする大聖寺藩が誕生。
以来、明治期に至るまでの二三〇年間、錦城山の麓には藩邸や武家屋敷、その東側には鍛治町鉄砲町など職人の町、南側には町の防備も兼ねて「山の下寺院群」を配置するなど、町割りのしっかりした城下町が置かれました。
そこには小振りながらも加賀百万石を彷彿とさせる風雅な文化圏が育まれたのです。
JR大聖寺駅のほど近く、「古九谷の杜親水公園」の一角に建つ、九谷焼をテーマにした美術館です。
青手、色絵五彩手、赤絵金襴手と呼ばれる上絵付けの三様式にあわせて、それぞれ趣向を凝らした展示室に作品を並べ、360年以上の歴史を持つ九谷焼の魅力を紹介しています。
九谷焼
そのほか館内には、全国各地に所蔵されている九谷焼の名品を高精細画像で鑑賞できるデジタルライブラリーや、大型ディスプレイで九谷焼の歴史を学べるデジタルギャラリー、喫茶コーナー「茶房古九谷」、ミュージアムショップなども設けています。
伝統の九谷焼展示室
工夫を凝らした茶室の九谷焼展示室
広々とした空間。大型ディスプレイで九谷焼の歴史を学べるデジタルギャラリー
その文化の代表格が九谷焼。藩の施策として始められた九谷焼ですが、
絵付けの号際な筆致や鮮やかな色彩には高い芸術性が見られ、古九谷から再興九谷に至るさまざまな謎を秘めた九谷焼の魅力が「石川県九谷焼美術館」で堪能できます。
深田久弥 山の文化館外観は、伝統的な和風建築で周囲に溶け込んだ落ち着いた雰囲気です
庭の大木とオレンジ色の灯り、さらに真白な漆喰の壁が白山を連想させますね・・・
深田久弥 山の文化館館内展示室内は白木を使いシンプルに仕上げてあります
また大聖寺は、『日本百名山』の著者として知られる深田久弥の生誕地でもあります。
晴れた夕暮れには「美しいものの究極」であると評した薔薇色に染まる白山が瓦屋根の上に鎮座する町。
久弥が愛してやまなかった大聖寺は、素朴な自然と人情が生き生きと息づく町なのです。
白山信仰
白山は、雪をかぶった純白の印象から、古くは「越の白嶺」とも呼ばれ、養老元年(西暦717年)に越前の僧「泰澄大師」が開山した信仰の山として、また、富士山、立山と並ぶ日本三名山の一つとして知られています。
白山は独立峰で周りに高い山がないため、北陸、東海、近畿の各地方から仰ぎ見ることができ、古来から都の人々に知られてきました。雪に覆われる冬の白山は、海からの目印ともなり、神の山として古くから崇拝されてきました。
御前峰には白山比咩神社の奥宮がおかれ、全国に三千社余りもあるという白山神社の総本宮として、崇敬を集めています。
白山比咩神社『奥宮』までは、厳しく険しい道のりですね・・・
三馬場と三禅定道
白山の山頂は禅定(霊山で修行すること)の到達点であると考えられたため、修行僧が登るようになり、しだいに道が作られていきました。
この道を禅定道といい、越前、加賀、美濃にあるぞれぞれの道は越前禅定道、加賀禅定道、美濃禅定道と呼ばれました。天長9年(西暦832年)には、禅定道の起点に越前馬場、加賀馬場、美濃馬場の三つの馬場が成立したと言われており、白山信仰の拠点として栄えました。
現在も各所に修行のための行場や宿泊所を兼ねた室跡などの旧跡が残っています。
白山比咩神社
加賀馬場の中心は石川県白山市鶴来の白山本宮・白山比咩神社です。加賀国の一宮で平安時代から藩政期まで、在地領主の奉賀がたびたび行われました。
続く・・・
参考
白山信仰と白山比咩神社『奥宮』について詳しくは下記リンク記事をご覧ください
ZIPANG TOKIO 2020「白山信仰と白山比咩神社『奥宮』開山1300年を迎える (続編その2)」
編集後記~反省~
加賀市大聖寺には見どころがビックリするほど沢山あるのに、寄り道ばかりしているせいか…?
編集作業に時間がかかり、本号ではわずかな見どころしかご紹介できませんでした。
来年は少しでも多くの見どころをご紹介できるように、編集方法を工夫したいと思っております。
まだ白山に登り始めたばかりなのに・・・頂上の奧宮まで行けるのかな~?
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
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